観た映画の感想を書いたりしてみる、その67:帰ってきたヒトラー

ネタバレあり Er ist wieder da https://gaga.ne.jp/hitlerisback/

 今日は帰ってきたヒトラーです。3年前の正月に借りたハズなんだが見直すと案外内容とか忘れてるもんだな…
 時に2014年、現代ドイツにヒトラーが蘇ったという話。ちなみに蘇ったのはヒトラー1人でナチスの皆さんは居ないし魔法とか超化学とか一切なし。映画を作る際に悪役軍団が欲しいからとりあえずナチスというフリー素材系ナチスとは一線を画す作品だぞ。
 いや、他にもそういう映画も沢山あるけどフリー素材系が多すぎて霞む現状のほうが問題ともいえる。
 蘇ったヒトラーはテレビ局をクビになったサヴァツキにテレビ局復帰の足掛かりにされる、不謹慎芸人として売れるヒトラー、その一方70年間の差を恐ろしい速度で埋めていく。現状を把握しインターネットを使いこなしさらにテレビに出演するため70年前とは影響力が段違い。演説の天才に一番相性のいいもの与えちゃった感じですね。
 第一次世界大戦後多額の賠償金を背負い外国に対して不満を持っていたドイツのように現代において移民・難民に不平を持つ人々から支持を集め始めるヒトラー、テレビ局の派閥争いで立場が一転するが、テレビに出てない間に本を書いたりその本が大ヒットして映画化したりとどんどん影響力が拡大していくのは見ものだ。
 物語終盤でサヴァツキは彼が本物のアドルフ・ヒトラーその人だと気付き、止めようと奔走しますが、おそらくこれが一般的な反応でしょう。ヒトラーをネタにするのは許せるが本物のヒトラーに生きていられると困るという。
 ヒトラーが生きていると主張するサヴァツキは最終的に精神病棟のような部屋に軟禁されています。結果、本物のヒトラーがドイツでフリーだ。あえてこの先を描かないでヒトラーの行動への不安と現代ドイツの問題点を見せつけて映画は終了する。
 個人的にはなんだかんだで現代ドイツ人に受け入れられる一方でネオナチに襲撃されるヒトラーという筋はよく考えれられていると思うし、ところどころに入るナチス映画のパロディも見ものだぞ。ヒトラー反対派のゼンゼンブリンクが会議室でキレるシーンは必見だw オススメだ。