観た映画の感想を書いたりしてみる、その77:ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル

ネタバレあり JUNGLEE https://filmarks.com/movies/86081

 今回はインド映画 ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル を観ました。
 まずこの映画のダメなところとしてはパッケージに書いてある「伝説のヒーローが蘇る!」という煽り文句だけです。だって伝説のヒーローは蘇らないし・・・
 ストーリーとしては母親の十回忌で故郷の象の保護区に帰ってきた主人公が象牙目当ての密猟者たちと戦うというお話です。
 ですがストーリーの描き方が丁寧に描かれていて引き込まれますね。序盤でドローン空撮で獲物を探す密猟者が描かれ、最終的にこいつをブチのめすんだなとわかります。その後、主人公ラージの人柄や交流関係、人間関係だけでなく象との関係も描かれて半ば動物番組です。象使いのお父さんとの仲直りの様子とかもしっかり描かれ密猟者さえいなければこのままおしまいでもいいくらいです。
 お母さんの十回忌の夜、象のディディが興奮して走り出します。それをお父さんが追いかけていくとラージの親友でジャングル1番の立派な牙を持つ象のボーラが密猟者に殺されているのを見つけます。ディディのお腹にはボーラとの間に授かった子供がおり、風雨の中でもボーラの最後を聞き取ったのでしょうか。牙を持たないからかディディは見逃されますがディディを追ってきたお父さんは密猟者に打ち殺されてしまいます。しかもこの密猟者、実は地元警察とべったり癒着しておりラージとお父さんの親子が密猟者の手先だと濡れ衣を着せて逮捕させます。ラージの「自白」をとろうとする中、手錠をされたまま悪徳警官3人をブチのめすラージ、ディディの力で鉄格子を引っぺがした窓から脱出します。ディディにお礼を言って投げキスを飛ばすラージ、あの、そこに都会から来た記者のミーラさんとお父さんの弟子の象使いシャンカラさんが居るんですがお二人にはお礼は言わないんですか?
 そんなギャルゲーの主人公みたいなことをしつつ、かつてインド武術カラリパヤットを修めた屋外の鍛錬場に武器を取りに来るとそこにボーラの牙がしまってあります。なんとラージの親友で兄弟弟子で現在は森林警備隊のデイブまでもが密猟者と繋がっていたのです。村を守り発展させるためにお金が必要だったと主張するデイブ、しかし父親と親友たちを殺されてそれで納得するはずもなく同門対決となります。デイブが負けたのを見計らったかのようにボーラの牙を回収しに現れる密猟者しかもシャンカラを人質にしてラージとデイブを撃ちます。気を失っている間にガネーシャ様の夢を見るラージ、ガネーシャ様は邦題に冠されていますが出番はここだけです。ラージを叱咤して去っていくガネーシャ様、まああんまり出ずっぱりでもありがたみが薄れちゃうしすこし足りないくらいがちょうどいいのです。
 シャンカラの奪還とお父さんとボーラ達の仇討ちのため象牙の密売現場に手ぶらで突撃をかけるラージ、カラリパヤットは結構使う武器が多い武術なんだけど、銃で武装した密猟者たち相手に基本素手とあとその場にあるもので立ち向かうぞ、さては象のかまえをとらせるためだけにカラリパヤットの使い手と言う設定にしたな?でもハシゴやフォークパレットと使った格闘シーンはカッコいいし、壁をブチ破ってラージの加勢に来るディディは迫力満点だ。
 ボーラを撃った密猟者の親玉はディディに踏み殺されて死亡。悪党の親玉の死亡シーンに趣向を凝らす映画は数あれど象に胸の真ん中を踏みしめられて死亡と言うのはなかなか見られないだろう。「象は忘れない」ってラージも言ってるし、どれだったか忘れたがアルマゲドン映画でも象は仲間のために泣くって言ってた。
 さらに記者のミーラさんがこの象牙の密売シーンから一部始終を生中継していたので真面目な警察官に踏み込まれ、生き残った密猟者たちも一網打尽にされます。めでたしめでたし。
 この映画、シャンカラとミーラというヒロイン枠の美女が二人出てきます。シャンカラは像使いで投石機の名手と言う属性こそありますが正統派ヒロインと言った感じの美人さんです。 一方ミーラは密猟者たちの悪事を生中継で告発したり、ラージのメイン足となるオートバイを運んだり、象の保護活動を世界中に配信したりととっても活動的です。
 でも幼馴染、ツンデレ、野生児、ケモノっ娘、戦友、人妻、乗り物、重機、ボテ腹からの子持ちという属性盛り過ぎでいて奥ゆかしく物静かなメインヒロイン、ディディが居るのでイマイチ影が薄いんですよね。まあ三人ともかわいいので問題ないけど。
 そういえばインド映画っていえば大人数でノリノリなダンスシーンがあるイメージだったけど無かったな。とか思っているとエンディングではみんながノリノリで踊るのでダンスシーン目当ての人にもお勧めできる。ぜひ観てみてください。