観た映画の感想を書いたりしてみる、その12:第9地区

ネタバレなし

 ある日突然宇宙から宇宙人の乗った円盤がやってくる。
ハリウッドでは日常茶飯事だぜ! まあ舞台はアフリカなんですけどw
 さて、宇宙人というと大抵侵略にやってくるものだ、ETとか例外中の例外だろう。まあ普通に考えれば恒星間航行ができる文化・技術レベルで考えれば地球人なんか猿にしか見えないというのも解らなくもない。
 だがこの映画の宇宙人は侵略しに来たのではない、じゃあ何しに来たのかというといや、何かしに来たわけではないのだ、遭難してきたのだ。帰りたくても帰れない宇宙人が地球の難民キャンプで暮らし、地球人との軋轢や衝突を描く、それがこの映画だ。
 そもそも宇宙人とは何かというと実はかつては外国人の代わりだった。
 戦争するのが当たり前のご時世では物語の中での役割は当然敵国人が悪党で自国民が正義の味方だ。でもそんな舞台や小説ばかりを書いていると戦時中は儲かるが和平が成立するととたん問題作ばかり書いている作家、ということになってしまう。敵国が必要、でも実在の国を書くわけにはいかない。そこで地底人・海底人と並んで出番となるのが宇宙人だ。昨今 日本人がお隣の国で4歳のおじいちゃんを殺したり手刀で真っ二つにされたりするほうがおかしいのだ。ドイツでも問題なく売り出せることを考えればナチスの上位互換と言ってもいい。
 移民の国アメリカが宇宙人を移民や難民のとして描くのは言われてみればなぜ今までなかったのだろうという感じだ。むしろ宇宙人難民モノとして1ジャンルを築いても不思議ではない。まあ宇宙人侵略者モノに比べると派手なドンパチシーンまでに時間がかかるのでその辺が理由かもしれない。

https://movies.yahoo.co.jp/movie/335765/